世界で最も認知されている英語講師資格CELTAとは?そして、当校日本人講師がCELTAを取得した話
世界中には多くの英語講師の資格が存在します。残念ながら、これらの資格はまだ日本では浸透していません。主な理由として考えられるのは、日本人の英語講師の中にはまだ「英語を英語で教えられる人材」が少ないという事実です。海外に長く住み、英語教育に携わってきた身として最も痛感することの一つは、
日本人の英語力を伸ばすには、優れた日本人の英語講師を増やすこと
が必須だということです。フィリピン留学の台頭により「留学」は以前に比べ遥かにaffordable(手に入る)なものとなりましたが、それでも決して安くはありません。「欧米留学に比べれば安い」というだけのことです。近い将来、国際的な英語講師資格を有する英語の先生が、日本国内の義務教育課程で教鞭を取るようになれば、間違いなく日本人の英語力は劇的に向上することでしょう。
そんな近い将来を見据えて、この記事では世界で最も認知されている英語講師資格であるCELTAについてじっくり語っていきたいと思います。
1. CELTA(セルタ)とは?
CELTAとは元来、
Certificate in English Language Teaching to Adults(大人に英語を教える資格)
の略です。そして、最近は下記のように変化したそうです。
Certificate in Teaching English to Speakers of Other Languages(英語以外の言語を話す人に英語を教える資格)
ここでCELTAの「凄さ」について、簡単に説明したいと思います。
1. 英国のケンブリッジにより認定された資格であること
これは権威性がありますよね。
イギリスは英語の母国、そして、イギリスを代表する大学のツートップの一翼を担うケンブリッジのお墨付きなのです(もう1校はオックスフォード)。ケンブリッジの凄さについてもう少し付け加えると、天下のノーベル賞受賞者においても世界で3番目に多く輩出している超名門です。そして、何度でも言います!CELTAってケンブリッジ認定の資格なのです!
2. 世界中にある英語学校の71.5%が英語講師の採用に際してCELTAを重視
これは論より証拠。下記の記事の抜粋をお読み下さい。
Source:『世界のトレンド:75%がケンブリッジCELTAを英語教師採用の要件に』
2. 他の資格との違い TESOLって何?TEFLとは?
まずはCELTA同様、というかCELTA以上によく耳にする二つの有名な資格を紹介します。
TESOL(テソル) : Teaching English to Speakers of Other Languages
TEFL (テフル) : Teaching English as a Foreign Language
この二つの資格を定義することはとっても大変なので、ここは信頼性のある文献にその根拠を求めたいと思います。以下、イギリスのIELTSの運営団体でもあるブリティッシュ・カウンシルの記事の要約です。
1. TESOL/TEFLコースを認定及び運営する学校は数多い。
2. TESOL/TEFLコースの内容・レベル・期間等は、認定団体や学校により全く異なる。
3. 極端な例では、1日や2日で取得できるコースもあれば、Teaching Practiceという実演授業も無しにオンラインのみで取得できるコースまである。一方で、大学の学士・修士課程等で学ぶ本格的なものまで。
以上から、一言でTESOL/TEFLと言っても千差万別であり、ポイントは「どこでTESOL/TEFLを取ったか?」だそうです。参考までに、TESOLで最も知名度が高いのはTrinity CertTESOLだそうです。
3. CELTAとは一体どういうコースか?
CELTAコースの要点は下記の3つでしょう。期間は4週間です。
1. 最低でも120時間の授業がある。
2. TP(Teaching Practice)という実演授業(1回45分)が最低6回含まれる。
3. 4本のアサインメント(筆記課題)が含まれる。
1. 120時間の授業(インプット・セッション)
CELTAトレーナーにより120時間のインプットセッションが行われます。私が受講したコースでは、月曜日〜金曜日まで朝9時〜12時がインプット・セッションでした。クラスの規模は16名ですが、レクチャー・スタイルではなく、ペアワークやグループワーク主体の非常にインタラクティブな授業です。
内容としては下記のようなことを学びます(一部のみ紹介します)。
Classroom Management
Receptive skills
Analyzing and pre-reaching vocabulary
Analyzing Grammer (MFP)
Text-based Language Lessons
Phonology : Dealing with Pronunciation
2. Teaching Practice(ティーチング・プラクティス)
TP(Teaching Practice)の要点は下記の通り。
1. 私が受講したコースでは、毎週2回、合計8回のTPがありました。
2, レベルの内訳は、Elementary(初級者)4回、Intermediate(中級者)4回。
3. 教えた科目は、Speaking, Writing, Listening, Reading, Vocabulary(2回), Grammar(2回)
また、CELTAは全てのTPを下記のサイクルで行います。とっても徹底しており関心しました。毎日午後は、下記のプロセスを行います。
1.Teaching Point受領(何を教えるかの指示を受けます)
2. Lesson Plan を自分で作成
3. ALP(Assisted Lesson Preparation): tutorからの指導&アドバイス
4. TP実施
5. Self-evaluation sheet 作成:自己評価
6. TP feedback session:tutorやグループメートと一緒に自分や他人のTPについての議論
7. Tutorからのフィードバック:成績に加え、良かった点やアクション・ポイント(改善すべき点)のフィードバック
教えること自体は楽しいです。そして、しっかりとして準備をすればTPは決して難しくありません。
3. Assignment (アサインメント)
ざっくり週に1本のペースでライティングのアサインメントが出されます。私が参加したコースでは、1回で全てのアサインメントをパスした研修生の割合は4割程度でした。初回でパスできなくても、1回だけ最提出/resubmitが許されるのですが、初回でパスできないと時間的にも精神的にもとっても厳しくなります。どれも字数制限は750〜1000字です。
下記が実際のアサインメントです。
1. Language-Related Tasks(文法の分析等)
2, Focus on the Learner(授業中の生徒の良かった点や誤りを分析し、その誤りを正すためにどういう授業をするか?)
3.Skills-Related Tasks Assignment(Readingのテキストを分析、及び適切なアクティビティの立案等)
4. Lessons from the Classroom(コースの振り返りや自己分析)
個人的には、1番目の「文法分析」がとっても勉強になりました。
4. CELTAの教え方とは?
とってもザックリですが、CELTAの基本的な考え方をご紹介します。
1. Student-centered(生徒中心の授業)
先生が生徒に対して知識を提供していく伝統的な講義スタイルのことを、CELTAではTeacher-centeredと呼びます。一方で、CELTAの基本的な姿勢はStudent-centeredであり、先生が話す時間/ TTT/ Teacher Talk Timeをミニマムにすることを求められます。
2. elicit / エリスィット(引き出す)
「教えるのではなく、生徒から引き出す」ことがCELTAでは求められます。ある質問に生徒が答えられない場合は、回答を言うのではなく違う形の質問をして何とか答えを引き出そうとします。逆に言えば、CELTAでは教えてはいけないのです。
5. 当校日本人講師が成績上位30%を証明する「PassB」でCELTAを取得
実は当校日本人講師(私です)が、2019年7月に無事CELTAを取得しました。
とってもタフなコースでしたが、学ぶことも多く、既にCELTAメソッドの一部をセブ英語倶楽部での授業にも取り入れています。おそらく私は、セブの英語学校で唯一のCELTA講師だと思います(私が知る限りですが)。ということで、当校に来て是非CELTA式の授業を受けてみて下さい。
最近では、日本で英語を教える先生のフィリピン留学も増えています。そんな方に対して、私はCELTAを教えることはできませんが、CELTAのエッセンスをお伝えすることはできると思います。
最後に、私はPassBという成績でCELTAを取得することができました。実はCELTAの成績には3種類あり、上位5%がPass A、次の約25%がPass B、そして残りの7割はPassでの卒業となります。以上から、私の成績は上位30%に入ったということになります。まだまだ取得ほやほやの身ですが、これで少しは自信を持って「私はCELTA講師です」と言えそうです。
宜しければ、下記の動画も参考になさって下さい。
以上で、CELTAについての解説を終わりにします。
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