【言語間距離という概念2】日本語と英語の違いを学術的に検証する(概論と発音)
CELTAコース中に『Learners English』(Michael Swan 著)という本との出会いがありました。この本は、英語を学習する上で「母国語がどのように影響を及ぼすか?」ということを研究した本です。この記事では、本書で解説されている「日本語を母国語とする人が英語を習得する上で経験する難しさ」を噛み砕いて説明したいと思います。英語学習者も、英語講師も、きっと理解しておいて損はない内容でしょう。
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ざっと箇条書きで意訳します。
「日本語を母国語として話す人」と「英語を母国語として話す人」は、お互いの言語を学習することを困難(hard)と感じる。
主な理由としては、
・文(センテンス)の構成が全く異なる
・日本語には敬語が存在することから、英語でも過剰にpolitenessに注意を払う(先生を名前で呼べない等)
仰る通り、日本語と英語は全く違いますね。一方で、韓国語が上手な日本人や日本語が流暢な韓国人が多いのはお互いの言語が似ているからなのです。つまり、日本人が英語を習得するのと、日本人が韓国語を習得するのは全く別次元のことなのです。
また全体的な傾向として、
・「聞く」より「見る(読む)」ことに重きを置く傾向がある(日本語には全く同じ発音でも表記/文字が異なる言葉が多いため)
・雄弁で流暢なスピーチが必ずしも高く評価されない(むしろ低く評価されることもある)
・「はっきり言う」よりも「曖昧さを残す」ことの方が好まれる
・日本人は言葉にされない「行間」を読むことに長けている
・女性の方が男性よりも英語学習に対しリラックスした姿勢を見せる
とっても興味深い分析ですね。日本人が英語のリスニングが苦手な理由を、漢字の同音異義語に求めている点は目から鱗ですね。
・日本語には「音」が少ない(母音はたったの5つ)
・音節/syllableもシンプル(通常、「母音+子音」か「母音のみ」)
・英語に多い「子音の連続音」がほとんどない
→ 従って、英語の特徴である「複雑な音を組み合わせて発音すること」に困難を覚え、聞き取りにおいてはそれ以上の困難を覚える。顕著な例として、日本人は仮に複雑な文を自分では言えたとしても、同じことを他者から言われると聞き取れないこともしばしばである。また、日本人は仮にほとんど理解できない場合でも(聞き返すことが相手に悪いと思い)頷く傾向が強い。
・日本語を話す際、顎や唇の動きは非常に小さい
・社会的に穏やかな話し方(soft speech)が好まれる傾向にある
上記の青字部分は秀逸ですね。一言で言えば、「Speakingの方がListeningより簡単」と言っているのです。これは、私が従来から主張している「4技能の中ではリスニングが一番難しい」という考え方を裏付けてくれます。興味のある方は、下記の記事もお読み下さい。
・「ɔː」と「əʊ」をいずれも「oː」と発音してしまう。Ex. caughtと coat, boughとboat
・「æ」と「ʌ」をいずれも「a」と発音してしまう。Ex. lackとluck, matchとmuch
・「ɜː」(シュワ音)が出ないので「aː」になってしまう。Ex. hurt とheart
上記以外の間違いも例示されていますが、上記3つは日本人英語学習者に見られる典型的な間違いですね。私も授業でいつも教えている発音です。ざっくりですが、英語には「あ音」が4つ、「お音」が3つあり、その使い分けは日本人にとってはとっても大変ですね。
・LとR
・FとH
・TH
・VとB
・nが聞こえない(鼻にかからない)
・tが「チ」、dが「ジ」、sが「シ」、zが「ジ」になる
・tとdに母音がくっつく(例「トゥ」ではなく「ト」になる)
上記もほぼ全て普段の授業で教えています。ということで、本書は私の頭の整理にとっても役立ちました。英語の発音というと、LとRの違いやTHのような有名な?ものばかりに目が行きがちですが、少なくとも上記に挙げた間違いは、日本人の典型的な癖と言い切って差し支えないと思います。
長くなったので、続きは次回で!
以上で、『日本語と英語の言語間距離(概要と発音)』についての解説を終わりにします。英語学習やフィリピン留学についてもっと詳しく知りたい人は、下記のメルマガにご登録下さい。タイトル通り、ブログでは書けないことを配信しています。
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